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<<   作成日時 : 2008/09/17 13:22   >>

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「美味しい?」
「うんっ、美味しいよ」

運動会の昼休みと言ったら“お弁当”。
多くの家族がお弁当持参で我が子の応援にヤッテ来ている。
勿論、オレんチにはそんなイベントは皆無だ。
母親から「ごめんよ、来年は作ってあげるからね」の
毎年恒例の決め台詞と僅かばかりの小遣いを貰えるだけだ。

だが、今年は少しばかり違っていた。
“やよいちゃん”がそんなオレにお弁当を作って来てくれたのだ。
彼女の家も忙しい。
幼い兄妹達を彼女が面倒見ていると言った環境だった。

「1人分多く作っても変わらないからね」

彼女の優しさが沁みた。
オレは「ありがとう」を重ねながらお弁当を満喫した。
そんな優しい時間が過ぎると次は過酷な時間がヤッテ来る。

「次は5年生男子による対抗騎馬戦です」

「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁ〜」
「やったるぞぉぉぉぉ〜」

何処からともなく聞こえてくる気合いの入った雄叫び。
オレ達の仲間達からも聞こえてくる。

「頑張ってね」
「ああ」

オレはやよいちゃんに手を振りながら仲間達の待つ入場門へと歩を進めた。

「いちゃいちゃしてんなよ」
「いちゃいちゃしてねぇよ」
仲間達にからかわれながら同じクラスの男子達の元へと向かう。

「楽しもうぜ」
「ああ、思いっきりな」
「出来れば勝ちてえな」
「出来ればな」

同じクラスの男子達に合流すると一人のクラスメイトが声を掛けて来た。

「僕達も出来るだけ捕まらない様に頑張るよ」
「ああ、怪我するなよ」
「うん」

次いで日光君が言葉を掛ける。

「勝てそうか?」
「さあな」
「僕達の馬でバックアップ出来る範囲はバックアップしてやるよ」

思い掛けない申し出だった。
“雨降って…”では無いが、
ここ数日の間に色々な事があった。
今まで燻り続けていたモノが一度に噴出し見えなかった溝が表面化した。
それが良かったのか?否か?は分からないが
今、オレ達のクラスの間には劣等生も優等生との区別無く
一つのクラスの“仲間”である…と言う意識が芽生え始めたようだった。
オレ達の仲間が他の仲間に声を掛ける。

「皆、楽しくやろうぜ」

この言葉に異を挟む者は誰もいなかった。
「お〜っ」と言う返事が今までの事をノーサイドにした瞬間だった。

そして…
オレ達は惨敗した。

最後まで残る予定だったオレ達が瞬殺され
最後まで残った馬もアッサリとデリートされた。
それでも誰も悔しい顔は見せなかった。
クラスの仲間に頭を下げてまで勝ちたいと言っていた奴も
出来るだけ頑張る言っていた奴もその顔は同じだった。

「負けちゃったね」
瞬殺され良い所無しで終わったオレにやよいちゃんが言葉を掛けてくれた。

「うん、でも楽しかった…良いや」
「楽しそうな顔していたよ」
「そう?」
「うん」

彼女から告げられたその言葉が何よりもの労いだった。
結果は惨敗だったけれど、
クラスの仲間達と共有出来たこの一瞬の時間は何物にも代えられないモノになった。

「オマエ等…もっと頑張れよ」
日光君が軽口を叩いてオレに駆け寄って来た。
「悪かったな」

鑑みれば後に“腐れ縁”の関係になる日光君がオレに
オレが日光君にほんの少しだけだが歩み寄った瞬間って
この時だったのかも知れない。

オレ達は騎馬戦で優勝は得る事は出来なかったのだが
それにも勝る“何か”を得る事は出来た。

そしてオレ達の運動会は終わった。。。

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