きらきらとかがやく●●●

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zoom RSS 黒く塗り潰せ

<<   作成日時 : 2009/01/05 10:44   >>

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「この竹をだなぁ〜」
そう言いながら竹を真二つを割る父を見ている。

普段はあまり構ってくれない父が唯一オレ達兄弟と接する機会。
ガキ時分の正月の想い出なんてそんなモノだ。

父は手先が器用だ。
正月はいつもオレ達に凧を作ってくれる。
それが妙に嬉しくって仕方が無い。

先程まで1本の竹が何度も縦に裂かれ竹籤になって行く。
それをオレ達は凧の骨として凧を作るのだが…
これが基本的に貧乏館なので
凧の帆は新聞紙。勿論、尻尾も新聞紙と言う
何とも形容し難い貧乏凧なのだ。

「オマエ達、新聞に何か書けよ」

父にそう言われても気乗りがしなかった。
何故ならば…新聞紙の凧だぜ?
“何か書け”と言われても既に帆は文字で埋め尽くされている。
そんなモノに一体何を書けば良いんだ?

オレと弟は半ば呆れ顔で父にこう反論した。
「何も書けないよぉ〜」
父はスクリと立ち上がりこう言った。
「だったら、黒く塗り潰せ」と…

習い事等無縁のオレだったが
家庭内の諸般の事情から習字だけは習っていた。
その上、今はお正月。
墨には事欠いてはいない。

父の提案に納得しながらオレ達は凧を黒く塗りつぶして行った。

黒く塗り潰された貧乏凧は妙な異彩を放った凧へと変貌し
これが新聞紙で出来ているとは到底思えない代物になった。
オレ達は父が作ってくれた凧を片手に学校へ向かった。

昔は正月は学校の校庭を開放していた。
ガキ共はみんな校庭で凧を地面に引き吊りながら走り回っていた。

「おめでとう」
そんな中に仲間を見付け声を掛ける。

「オマエも凧上げか?」
「ああ」
「じゃあ一緒にヤロウぜ」
「ああ」
「高い方が勝ちな」
「分かった」

オレも校庭を走り回りながら風を捉える事に躍起になっていた。

昔の凧上げには必ず持って行くアイテムがあった。
それは新聞紙と糊と鋏だ。
凧の両脇に尻尾を取り付けるのだが若干の微調整が必要となって来る。
時には帆を張って尻尾を短くしたり
帆を緩めて尻尾を長くしたり
兎に角、凧上げは凧と風とのバランス勝負なのだ。

そんなこんなしながらも
無事に凧を軌道に乗せて凧は大空高く舞い上がって行った。

「あんなに小さいぞ」
「オレだって…」

オレ達の勝負はいつの間にか
大空を舞いあがる凧をただ見詰めているだけの勝負となって行った。
風を捉え切れなくなって来た頃、オレ達はノーサイドで帰路へと付いた。
黒く塗り潰された凧も風のダメージを受けていた。

「明日は少し直して行こうかな?」

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